NGC7293(らせん星雲)
7月と8月にNGC7293を撮影して、トータル3時間余り露光したものを以前記事にしていました。
3時間以上露光したので細かいところまで表現できるのではと期待していましたが、期待したほどではなくできれば撮り増ししたいと思っていました。
しかし、その後天候が悪い日が続き、惑星や月の撮影は何度か行えたもののその撮影でさえ殆どが雲間や雲越しの撮影でした。9月終盤になりようやくDSOが撮影できる位の晴れ間が訪れ、3時間ほど撮り増しできました。
処理後の画像
まずは結果です。
トータル6時間18分と今までにやったことがない長時間露光となりました。そのおかげで、周りの淡い部分も炙り出すことができ、明るい部分には強調処理も行うことが出来てだいぶ細かい模様も見える様になったと思います。
一応、トリミングしていない画像も掲載しておきます(1600x1600にリサイズしたもの)。
今回の処理
極軸合わせの精度のためか追尾精度が悪い場合があり、その時は露出時間を90秒にしました(それ以外は128秒)。そのため、明るさの違う画像が混在していますが、スタック枚数は多い方が良いと思い特に気にせずスタックしています。また、追尾精度の影響で多少星像が伸びているものや、雲が通過したものも若干コントラストが落ちた程度であればスタック対象にしました。その結果6時間超の露光時間となり、星雲部分は先ほど記載した様に淡い部分も炙り出すことができ、明るい部分は結構な強調処理を行いました。
しかし星像の方はというと、少し肥大してガイドズレ方向に延びてしまい、かつ試したいことがあり何度かフラットナーとのバックフォーカスを若干変えているので周辺で置合わせがうまくできてない部分がありました。
私は、Starnet2で星と星雲に分けて別々に処理してあとで合成するという処理をしているので、星のみ画像を作る際の元画像は追尾精度の悪いものを除いてスタックしたものにしました。なので、星のみ画像の露光時間は1時間程とだいぶ差があります。とはいえ、合わせてみると違和感はないと思います。
また、今回はちゃんとダーク減算を行い、ダークで取りきれなかったホットピクセルを改造版DSSでデッドピクセルマップを使い補完しています。淡い部分を炙り出せたのは、ダークの効果も多少あるかなと思っています。
それにしてもこの星雲、色合いをうまく出すのが難しいです。Webでよく見る画像やStellariumなどの画像では真ん中あたりは青いのですが、フィルターの影響もあるのか普通に処理すると緑色になり、それを青くしようとすると、その周りの黄色い部分がピンク色になってしまいます。らせん星雲といえば、どうしてもWikipediaに掲載されている「らせん星雲NGC7293のハッブル宇宙望遠鏡と地上望遠鏡の可視光線における合成イメージ」の印象が強いので、今回は色々弄ってできるだけそれに近づけてみたつもりです。
前回との比較
前回の画像と並べたものが以下になります。
前回のものと比べると、淡い部分を炙り出したので眉毛みたいな部分が太くなり、星雲全体も少し大きくなっています。その分、背景のノイズ感は同じ位ですが、明るい部分のモヤモヤや放射状の筋みたいなものは良く表現できていると思います。もちろん口径5㎝の鏡筒なので、大きな鏡筒で撮影したものに比べると見劣りしてしまいます。しかし、私としてはこれだけ写れば大満足です。
まとめ
こんなにしつこく1つの天体を撮影したのは初めてです。天文に復帰してからは色々な被写体を撮影するのが楽しかったので、長くても2時間くらいの撮影で3時間というものが稀にあるという感じでした。
今回はなぜか気合が入って6時間という撮影でしたが、次にもう一度やるかといえば少し“?”です。今年は好天が続くことが少ないですし、まだ撮影してない天体や以前撮影して撮り直しや撮り増ししたい天体もあるので、当面はそちらを優先すると思います。