連日の惑星撮影

9月終盤から10月初めにかけて、晴れてシーイングも良いという日が数日続きました。木星が衝前後の観測好機で、土星も衝は過ぎたもののまだ十分に楽しめ、遅い時間には火星も見ることが出来ます。新月期でもありDSOの撮影にも良い条件のため、惑星だけでなくDSO撮影も含めて忙しい数日を過ごしました。
先日DSO撮影の1つであったNGC7293を記事にしたので、今回は惑星について記載します。

撮影の概要など

具体的に撮影した日は9月25日、26日、27日、30日、10月1日で、データ量はトータルで275GBほどになりました。DSOの撮影がなければ、もっと撮影していたかもしれません。
画像サイズは基本640x480で撮影していてあまり大きくないのですが、それでも300GB近くになったので今までの中ではかなり大量に撮影した方です。しかもシーイングが良かったので、もっとディテールが出ないかと処理やパラメータを色々変えて試していたため、なかなか処理が追いつかず先日やっと処理が終わりました。

今回は木星が9月27日に衝ということで、木星を数多く撮影しました。土星は2セットのみ、火星も建物に隠れて撮影できる時間が限られるので2セット。他に天王星海王星も撮影してみました。

また、現時点ではDSOを撮影する機材が一部ダブっているので、DSO撮影時は惑星の撮影は出来ません。そのため、DSO撮影を終えガイドカメラとして使っていたASI224MCを惑星撮影に使おうと取り外した際に誤ってカバーガラスを割ってしまうというトラブルがあり、幾つかはASI533MCPでの撮影となっています。(このトラブルの顛末については、別途記事にしたいと思います。)

結果画像結果画像

木星

まず、大量に撮影した木星です。数が多いので気に入っているものを数枚掲載します。

木星:2022/09/27 00:07 @自宅ベランダ
Sky-Watcher Mak127+笠井2.5xバロー+ASI224MC, AZ-GTi, UV/IR cut使用
Gain 350, 露出 10ms, 6000frames×5ショットを50%スタック
AutoStakkert3, AstroSurface, WinJUPOS, GIMP で処理

大赤斑もあり、かつ良シーイングで衝という好条件でした。Twitterや他の方のブログでは非常に素晴らしい画像が掲載されており、それを見てしまうともっといい画像にできないかとつい思ってしまい、何度も処理をやり直しました。しかし結果は殆ど変わらず、もう少しシャキッとさせたいのですがノイズとのトレードオフになってしまいキリがないのでこの状態を最終としています。もちろん過去最高の出来です。右下のイオもいいアクセントになっています。

木星:2022/09/30 21:16 @自宅ベランダ
Sky-Watcher Mak127+笠井2.5xバロー+ASI224MC, AZ-GTi, UV/IR cut使用
Gain 350, 露出 10ms, 5000framesを50%スタック
AutoStakkert3, AstroSurface, GIMP で処理

こちらは衛星が三角形になっているので、記念撮影したものです。シーイングが良いため、1ショットの処理ですが木星の模様も十分見えています。

木星:2022/10/01 00:29 @自宅ベランダ
Sky-Watcher Mak127+笠井2.5xバロー+ASI224MC, AZ-GTi, UV/IR cut使用
Gain 300, 露出 12ms, 2000frames×2ショットを50%スタック
AutoStakkert3, AstroSurface, WinJUPOS, GIMP で処理

大赤斑はありませんが、南側の白斑と北側のポツポツが気に入っています。

土星

土星:2022/09/30 21:04 @自宅ベランダ
Sky-Watcher Mak127+笠井2.5xバロー+ASI224MC, AZ-GTi, UV/IR cut使用
Gain 450, 露出 16ms, 8000frames×4ショットを50%スタック
AutoStakkert3, AstroSurface, 自作ソフト, GIMP で処理

2セット撮影したうちの1つで、この日の方が良い出来でした。衝を過ぎて少し小さくなりました。

火星

火星は撮影した2セットを掲載します。

火星:2022/09/26 03:13(左) 09/27 00:29(右) @自宅ベランダ
Sky-Watcher Mak127+笠井2.5xバロー, AZ-GTi, UV/IR cut使用
左: ASI224MC Gain 300, 露出 8ms, 8000frames×3ショットを50%スタック
右: ASI533MCP Gain 350, 露出 10ms, 8000frames×4ショットを50%スタック
AutoStakkert3, AstroSurface, 自作ソフト, GIMP で処理

右の画像はASI533MCPで撮影したので、少し大きく写っています。
火星はまだ小さくちょっと処理が難しいですね。それでも、砂嵐が発生しているとのことで、それっぽく写っている感じがします。

天王星海王星

天王星海王星は毎年1度は撮影していて、今年も撮影できました。

天王星(左):2022/09/27 00:49,海王星(右):09/27 01:02 @自宅ベランダ
Sky-Watcher Mak127+笠井2.5xバロー+ASI533MCP, AZ-GTi, UV/IR cut使用
天王星: Gain 550, 露出 60ms, 1000frame×2ショットを50%スタック
海王星: ASI533MCP Gain 350, 露出 10ms, 8000framesを50%スタック
AutoStakkert3, AstroSurface, GIMP で処理

いつもはもう少し色の差が出る(天王星の方が薄い青になる)のですが、今回は色の差が思ったより出ませんでした。カメラがASI533MCPだったからかもしれません。

その他

9/27はシーイングが良かったので、ガニメデの模様が撮れないかも試してみました。以下はTwitterに掲載した画像です。

ガニメデ:撮影日や機材などは記載の通り

偽解像の可能性も十分あり、何とも言えない感じです。何度か日を変えて撮影して、シミュレータ通りに変化するかを見てみたいと思っています。とは言え、シーイングが段々悪くなっていくと思うので来シーズンまで持ち越しかもしれません。

まとめ

8月から9月前半にかけては天気が悪く、撮影できたとしても雲に邪魔されながらという状況だったので、雲の影響も殆ど無くシーイングも良いという日々を堪能できて非常に楽しかったです。撮影だけでなく、眼視もここ数年で一番楽しめた気がします。
こんな日が続くのは嬉しいことですが、連日の撮影・観察・画像処理で思った以上に疲れが溜まってしまいました。50代も終盤なので、調子に乗らずに「ほどほど」にしておいた方がいいかもしれません。