お盆休みの撮影(1日目)

8月11日から14日まで、実家に帰省していました。

昨年は満月期だったので撮影機材は持ち帰らず双眼鏡で眺めるだけでしたが、今回は新月期ということで機材を持ち帰ることにしました。九州・沖縄に長居していた台風6号も数日前に通り過ぎ、帰省期間中の天気はまずまずで12日と13日の夜に撮影を行うことが出来ました。

その時に撮った画像を2回に分けて紹介したいと思います。

持ち帰った機材

今回持ち帰った機材です。

  • 鏡筒:FMA135,カメラ:ASI533MCP,フィルター:CBP, UV/IR-Cut
  • 架台:スカイメモS+赤緯体 (微動台座&アリガタプレート)
  • その他: ACアダプタ(冷却用),モバイルバッテリー(スカイメモ用) ・・・など

あと、天体撮影のためという訳ではなく、ノートPC(+ACアダプター)とコンデジは毎回持ち帰っています。今回の撮影で使ったので一応記載しておきます。

実家は鹿児島(の大隅半島側)で、飛行機に乗っている時間は1.5時間ほどです。しかし、その前後の移動が夫々1.5時間ほどかかり、待ち時間などもあるのでトータルで片道8時間以上かかります。時間が長いだけでなく、途中乗り換えも多いので荷物が重いとかなり疲れます。

そのため50代終盤に入ってきたここ数年は、持ち帰る鏡筒は一番軽いFMA135で、架台は持ち帰らず実家にあるアストロ光学のR-77屈折赤道儀に載せて撮影していました。
しかし、この赤道儀は古くてメンテナンスもしてないためか追尾精度が悪く、撮影時の歩留まりは1/3を切るレベルです(オートガイドは出来ません)。今回は帰省の期間が短いので、この歩留まりではせっかくの暗い空なのに実質の露光時間が稼げないと思い、頑張ってスカイメモSも持ち帰ることにしました。

但し、重くなるので微動雲台とバランスウェイトは除外し、ウェイト代わりに赤緯体のアリガタについている3/8”ネジを1/4”ネジに取り換えてコンデジを取り付けることにしました。コンデジが軽いのでバランスは取りきれませんが、問題なく使えました。もちろん、三脚も荷物が重くなるので実家にあるカメラ用のものを使い、ガイド用の鏡筒やカメラも持ち帰らずノータッチガイドです。

また、モバイルバッテリーはスカイメモS用だけにして、ASI533MCPの冷却用には屋外コンセントがあるのでACアダプタのみを持ち帰りました。

機材構成の写真です。

持ち帰った機材
※自宅で撮影したもの。実際の撮影では実家の三脚を使用。

本当は双眼鏡も持ち帰りたかったのですが、出来る限り軽量化ということで今回は諦めました。

この様に最小限にしたつもりでも、実際に帰省してみると結構重かったです。自宅に戻る時は、上記機材の半分(と着替えやお土産など)は宅急便で送りました。

1日目の撮影

移動日(11日)の夜は疲れていたので撮影はせず、12日の夜が撮影初日でした。
ただ、この日は夜8時頃まで結構雲が出ていたので撮影は諦めていて、翌日何を撮ろうかと考えていた状態でした。ところが、10時頃に外に出てみると雲が全く快晴でした。そして流石に暗い空です。星が輝いて天の川もしっかり見えていました。美しい星空に見とれていると撮影時間が短くなるので、早速機材設置に取り掛かります。

庭のどこに置くかしばし悩んで、北極星が見えて、且つお向かいさんの外灯の光が生垣に隠れる場所にしました。ただし、その場所だと屋外コンセントからいつも使っている延長コードでは届かず、そのままでは冷却が出来ません。冷却用のモバイルバッテリーを持ち帰っていれば良かったのですが、前述の様に今回は荷物の軽量化優先で持ち帰っていません。家の中から使えそうな追加の延長コードを探す時間ももったいないということで、結局1日目は冷却なしで撮影することにしました。この辺は急遽撮影することにしたので、準備不足でしたね。

極軸合わせですが、普段自宅では北極星が見えないベランダで撮影をしているので、今回初めて極軸望遠鏡を使いました。しかし、初めて使うということで慣れておらず、明視野照明装置を持って帰るのをすっかり忘れていました。しかたなく、スマホのライトで何とか凌ぎました。
それよりも、微動雲台を持ち帰らなかったのが痛かったです。ただでさえ古い(中学の頃に買った)三脚で、雲台の動きがカクカクして合わせにくくてしようがありません。少し手こずって10分以上格闘したでしょうか、若干の妥協はありますが何とかセッティングできました。

被写体の導入については、以前自作したソフトを使いました(以下の記事参照)。

r77-maabow.hatenablog.com

最近はStar Adventurer GTiばかり使っていて自動導入に慣れきっていたので多少手間取りましたが、だんだん勘を取り戻してきて数分で導入は出来ます。
ただ、微調整は難しいですね。赤緯体は微動がありますが、赤経方向はスカイメモ本体に微動ボタンがあります(12x速らしいです)が、いまいち動き量が少なく強く押さないと動かない場合もあり、何度か操作しているうちに極軸がズレてしまうことがあるのであまり使っていません。やはり、赤経方向にも赤緯体と同じ様な微動装置が欲しいところです。

持ち帰るのを忘れた視野照明装置 と 赤経方向の微動ボタン

そんなこんなで、1日目に撮ったのは2対象のみでした。何時頃から快晴になっていたのか分かりませんが、撮影開始が遅く翌日も出かける予定があったので仕方ありません。

撮影結果

前置きが長くなりましたが、撮影した画像です。
最初に撮ったのは、はくちょう座のサドル付近で三日月星雲(NGC6888)も入れてみました。

はくちょう座サドル付近:撮影2023/8/12 22:28 @実家(鹿児島)
FMA135, ASI533MCP(冷却OFF), CBP,  スカイメモS(ノータッチガイド)
Gain=250, Exposure=90s, 40frames (1hr)
DSS(改造版), Siril, Starnet2, AstroSurface, Neat Image, GIMP で処理

もう1つ撮影したものが、定番の北アメリカ星雲(NGC7000)とペリカン星雲(IC5070)です。

アメリカ星雲&ペリカン星雲:撮影2023/8/13 0:37 @実家(鹿児島)
FMA135, ASI533MCP(冷却OFF), CBP スカイメモS(ノータッチガイド)
Gain=250, Exposure=90s, 41frames (1hr 1.5min)
DSS(改造版), Siril, Starnet2, AstroSurface, Neat Image, GIMP で処理

何れも一昨年に自宅で撮影したことがありますが、やはり暗い空だと星雲の濃さが違いますね。気を良くして強調処理をやや強めに掛けてしまいちょっとザラザラした画像になってしまいましたが、自分の中では非常に満足のいく画像になりました。

撮影の様子

今回は、普段撮らない撮影風景を撮ってみました(スマホの性能が悪く、粗い画像で申し訳ありません)。ちょうど2枚目の画像を撮り始めたころのものです。

右側が実家で、同じく帰省していた姉が起きていたので窓から光が漏れています。この窓にはカーテンが無いんですよね。雨戸を閉めるのも面倒だったのでこのままにしていました。

また、実家の壁が明るく照らされているのは窓からの明かりだけではなく、お向かいさん(写真の向きとは逆の右後方にある家)の外灯の明かりです。これが結構強烈でかなり眩しいです。写真右の木やBSアンテナの影が壁に映っているので、部屋から漏れた光よりかなり明るいことが分かるでしょうか。また、この時間はお隣さん(左側の家)も就寝前の様で窓から光が漏れていて、これも結構明るいです。

こんな感じで、周囲の明るさに関しては自宅ベランダより環境は良くないのですが、空自体の暗さは段違いなので多少周りが明るくても、目が慣れてくると天の川が肉眼でちゃんと見えます。そして、写真の奥の方に行くと周囲の明かりが届かないので、射手座付近の天の川の濃淡が肉眼で十分楽しめます。

自宅では決して見られない暗い空なので、撮影中は庭のあちこちに移動しながら美しい星空を肉眼で堪能しました。双眼鏡を持って帰っていれば、もっと楽しめたでしょうね。因みに、この日はペルセウス座流星群の極大前でしたが、見た流星は2つだけでした。ただ、その1つはかなり明るい火球だったので、まあ満足といったところです。

参考までに、撮影中のSharpCapのキャプチャ画像を載せておきます。

25分ほどスタックした状態ですが、これで完成でも良いんじゃないかと思いながら撮影していました。周囲がいくら明るくても、空が暗いとここまで写るんですね。

翌日にダークを作成… そして次回につづく

1日目は非冷却での撮影でした。本来なら撤収前にダークを撮っておきたかったのですが、翌日予定があり早々に撤収したので、翌日所用が終わった後にダークをとりました。撮影時のセンサー温度は28~29℃。エアコンの効いた部屋であればそれくらいの温度になりそうということでダークを撮とってみたところ、ほぼ狙い通りにセンサー温度が29℃ちょっとのダークを取得できました。確認のため簡単に処理してみると、ホットピクセルもちゃんと消えてノイズも思ったほど酷くはなく一安心。

その後、1日目の反省を踏まえてちゃんと冷却して撮影できる様に、機材設置場所や電源の延長コードの長さ確認し、追加の延長コードの準備などを事前に行っておきました。2日目の撮影については、次の記事に記載したいと思います。