お盆休みの撮影(2日目)

前回の記事の続きで、お盆に帰省した時に撮った画像の紹介です。今回は、最終日の2日目(8月13日)について記載します。

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2日目の撮影

1日目は設置場所まで電源コードが届かずカメラの冷却が出来なかったので、2日目は使えそうな追加の電源コードを家の中から探し出して、冷却ができることを事前に確認しておきました。
撮影対象もいくつか候補を考えておいて、1日目の機材設置場所では見えない対象に対してどこに機材を設置するか(もちろん電源コードが届くかも含めて)目星を付けておきました。

空の様子ですが、昼間は少し雲が出ていてちょっと心配な感じでしたが、それよりも空が霞んでいるのが気になりました。(鹿児島湾の)対岸を見ると、かなり白っぽくてはっきり見えません。夜になると雲は取れたものの、透明度の方は改善せずあまり良くない感じです。それでも、暗い所に目が慣れると天の川が見えてしまうのでびっくりです。

この日は、食事や所用などを済ませて夜9時頃から機材を設置し、極軸合わせに多少手間取って撮影開始は9時半過ぎからとなりました。翌日は自宅に帰らなければなりませんが出発は夕方で余裕があったため、撮影終了は3時過ぎでトータル約5時間半の撮影となりました。

撮影中に分かったのですが、この日空が霞んでいた原因(の1つ)は桜島の火山灰だった様です。撮影中、ノートパソコンの表面がザラザラしてきました。最初は風があったので地面の灰が吹き上げられたのかと思っていましたが、天気予報を見ると桜島上空の風向きが桜島から実家方面になっていました(鹿児島では天気予報の中で桜島上空の風向きや降灰予想が伝えられます)。普段、夏の時期はあまり実家側には灰は降らないのですが、台風7号の影響でいつもと風向きが違ったのかもしれません。

以下は、撮影終了後にFMA135の対物を撮ったものです。

火山灰が溜まっているのが分かるでしょうか。
こんな感じで若干の火山灰が降る中でしたが、この日撮影した被写体は5つで何れも自宅のベランダからは撮り難い場所にある天体にしました。

撮影結果

1つ目:アンタレス付近

最初に撮影したのは、アンタレス付近です。

アンタレス付近は自宅からでも撮れますが、八月半ばともなると薄明終了時の高度が25度位になるので、既にシーズン終了の時期になっています。鹿児島といえどもこの日の撮影開始時点だと高度は25度程度ですが、実家の西側からだと南西から西にかけてかなり低空まで障害物が少ないので、ここに機材を設置すれば1時間以上は撮影出来そう、ということで撮ってみました。

結果は以下の通りです。

アンタレス付近:撮影2023/8/13 21:38 @実家(鹿児島)
FMA135, ASI533MCP, CBP, スカイメモS(ノータッチガイド)
Temp.=0℃, Gain=250, Exposure=90s, 35frames (52mn 30s)
DSS(改造版), Siril, Starnet2, AstroSurface, Neat Image, GIMP で処理

いくら空が暗いと言っても低空で霞んだ空だったため、ちょっと厳しかった様です。また、他の被写体も撮りたいということで露光時間は50分ほどと短いこともあり、かなりノイズが多くカラフルな色もあまり出ませんでした。とは言え、6月に自宅で1時間半をかけて撮ったものよりちゃんと写っています。

6月に書いたブログでは、昨年撮ったものも合わせて処理したものを掲載しました。

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今回は、昨年分、6月撮影分、今回分を合わせて処理したものも掲載します。

アンタレス付近: 上記撮影データに以下を追加したもの
・2022/6/26 23:55 FMA135, ASI533MCP, CBP スカイメモS
Temp.=5℃, Gain=250, Exposure=64s, 30frames (32mn)
・2023/6/16 23:07 - FMA135, ASI533MCP, CBP SA-GTi, 
EVOBUIDE 50ED+ASI224MC, PHD2によるオートガイド
 Temp.=0℃, Gain=150, Exposure=128s, 43frames (1hr 31mn) 
→ 今回分を含めて露光時間はトータル 2hr 56mn 14s

どうでしょうか、ノイズが多いのはあまり変わりませんが、色はだいぶ濃くなったと思います。今シーズン、この被写体を撮り増しようと思いつつも結局他の被写体ばかり撮っていたので、今回何とか撮り増しが出来て多少マシな画像になりました。

2つ目:彼岸花星雲と出目金星雲

次に撮ったのは、彼岸花星雲(NGC6357)と出目金星雲(NGC6334)です。自宅からでは高度が低く障害物のため撮影できる日時が限られ、撮影できる場合でも電線に引っかかる時間が殆どです。

今回、撮影開始が22時半ころになってしまったので、さすがに鹿児島といえども出目金星雲の高度は15度程です。薄明終了直後から撮影できていればよかったのですが、ちょっと無謀と思いつつも普段は撮れないということで強引に撮影を開始。45分ほど経って高度が10度を切ったところで撮影終了としました。

彼岸花星雲と出目金星雲:撮影2023/8/13 22:35 @実家(鹿児島)
FMA135, ASI533MCP, CBP, スカイメモS(ノータッチガイド)
Temp.=0℃, Gain=250, Exposure=90s, 30frames (45mn)
DSS(改造版), Siril, Starnet2, AstroSurface, Neat Image, GIMP で処理

比較的明るい星雲ということもあり、高度が低く空も霞んでいるという悪条件にもかかわらず何とか形になりました。ノイジーではありますが、元々の空の暗さがあってのことだと思います。

3つ目:網状星雲

次は網状星雲です。こちらも自宅から撮れなくはありませんが、西に傾いてベランダの屋根(上階のベランダ)から出て建物の壁に遮られるまでの1時間弱しか露光時間が確保できない被写体です。(以下の記事参照)

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撮影開始は11時半頃で、ちょうど天頂付近に居ました。天頂付近が見易い様に、機材を1日目と同じ場所に移動して撮影開始です。FMA135とスカイメモSの組合せだと移動も楽々ですね。
こちらも、他の被写体も撮りたいということで1時間ほど撮影したところで切り上げました。結果は以下の通りで、ちょっと構図が北に寄り過ぎていました。

網状星雲:撮影2023/8/13 23:30 @実家(鹿児島)
FMA135, ASI533MCP, CBP, スカイメモS(ノータッチガイド)
Temp.=0℃, Gain=250, Exposure=90s, 40frames (1hr)
DSS(改造版), Siril, Starnet2, AstroSurface, Neat Image, GIMP で処理

もう少し露光時間を掛けて、且つ、フィルターもQBPを使えば良かったかもしれません。この頃は火山灰が降っていることに気付いていたので、フィルターを交換するのは良くないと思いそのまま撮影しました(撮影後に気付いたのですが、そもそもQBPを持って帰るのを忘れていました)。1時間露光でこれだけ写れば十分でしょう。

4つ目: Sh 2-131(ケフェウス座光星雲)

4つ目はケフェウスの座散光星雲Sh 2-131で、北側にあるため自宅ベランダからは撮影が出来ません。ちょっとした裏技を使って北側の部屋から撮れなくはありませんが、今まで撮影したことがなくこれが初めてです。

Sh 2-131(ケフェウス座光星雲):撮影2023/8/14 0:55 @実家(鹿児島)
FMA135, ASI533MCP, CBP, スカイメモS(ノータッチガイド)
Temp.=0℃, Gain=250, Exposure=90s, 40frames (1hr)
DSS(改造版), Siril, Starnet2, AstroSurface, Neat Image, GIMP で処理

かなり露光不足の様で、ザラザラになってしまいました。また、初めての撮影ということもあり、どういう色合いに仕上げればいいのかいまひとつ分かりませんでした。とはいえ、有名は象の鼻星雲(VdB142)も見えており、遠目に見るとまぁまぁそれらしく見えるので、ヨシとしましょう。
しっかり時間をかけて撮影したい対象です。

5つ目: アンドロメダ銀河(M31)

〆は有名なアンドロメダ銀河(我々の世代?だと「アンドロメダ大星雲」)です。

自宅だと、M31の高度が高いうちはベランダの屋根(上階のベランダ)で見えず、高度が下がると建物に隠れるため撮影できないので、一昨年は裏技を使って北側の部屋から同じ鏡筒で撮影しています。自宅との写りの違いを見たいということで、今回撮影してみました。

M31:撮影2023/8/14 2:07 @実家(鹿児島)
FMA135, ASI533MCP, CBP, スカイメモS(ノータッチガイド)
Temp.=0℃, Gain=250, Exposure=90s, 41frames (1hr 1.5mn)
DSS(改造版), Siril, Starnet2, AstroSurface, Neat Image, GIMP で処理
※この画像のみ画面右が北です

少し霞んだ空の1時間露光ですが、十分な写りだと思います。一昨年1時間半かけて自宅で撮ったものと比べると若干ノイジーですが、より淡い部分まで炙り出すことが出来ました。流石、暗い空です。
透明度が良ければ、UV/IR-Cutフィルターで撮った方がもっと淡い部分も写ったかもしれません。次に機会があれば試してみたいと思います。

なお、撮影開始の2時ごろはまだ少し東側にあり、1日目と同じ場所だと少し電線に掛かるので2メートルほど機材を移動しています。自宅のベランダだとこういう自由度はありません。実家の庭はそんなに広くはありませんが、マンション暮らしだと庭付き一軒家は憧れです。

まとめ

2日目は5つの被写体を撮影出来ました。若干霞んだ空でしたが元々空が暗い所なので、撮影した画像はその霞みを感じさせない写りでした。やはり空が暗いというのは良いですね。2日間とも、撮影だけでなく肉眼での観察も含め満足できました。

ここ数年は遠征も行っていないので、帰省時の撮影は自分にとって非常に貴重です。ただ、両親は既に他界しているので、お墓参りとお世話になった親戚に会うために帰省しているわけで、天体撮影はあくまでその「ついで」なんですけどね。片道8時間以上かかり疲れるし、元々の出身地ではなく友達がいるわけでもないので、「ついで」だとしても美しい星空を見たり撮ったりという楽しみがあるのは有り難い事です。この様な環境を残してくれた両親に感謝しています。