昨シーズン露光不足に終わったDSOを追加撮影

2022年の5月にスカイメモSを購入して以来、その年の年末にかけてEVOGUIDE 50EDを使ってメジャーなDSOを撮影していました。その中で、もう少し追加撮影しようと思いながらも撮影の機会がなかった天体がありました。昨年末から年明けにかけてようやく撮影が出来たので、その結果画像を紹介します。

撮影したDSO

対象のDSOは、M45、M33、NGC2264の3つです。以前の画像は以下の記事に掲載しています。

r77-maabow.hatenablog.com

M33とNGC2264は何れも総露光時間1時間36分で時間的にはそんなに短いと思っていませんでしたが、いざ処理してみると淡い部分が炙り出せずノイズも多めという結果でした。そのため、来シーズンは追加撮影しようと決めていました。

M45は4時間ほど露光時間をかけましたが、強調処理すると結構ノイズが目立つ結果でした。また、構図が少しずれていて被写体が若干右下に寄っていたので、追加撮影ではなく撮り直しをするつもりでした。しかし、実際に撮影して前回のものと比べてみると被写体が多少左上にズレているだけで、写っている領域はほぼ同じです。今回分だけで処理するのも何だかもったいない気がしたので、結局、前回のものに今回分を追加して処理することにしました。

各DSOの結果画像

M45

M45は、昨年12月18日と今年1月6日に撮影しました。前回分と合わせると総露光時間は7時間39分ほどになります。

M45: 撮影 2022/12/19, 12/25, 2023/12/18, 2024/1/6 @自宅ベランダ
EVOGUIDE 50ED+フラットナー, ASI533MCP, CBP, スカイメモS(前回), SA-GTi(今回)
FMA135+ASI224MC, PHD2によるオートガイド
2022/12/19 0:01: Temp.=-15℃ Gain=200 Exp.=128s, 58 frames
2022/12/25 23:47: Temp.=-15℃ Gain=200 Exp.=180s, 41 frames
2023/12/18 0:26: Temp.=-10℃, Gain=200, Exp.=120s, 43frames
2024/1/6 22:59: Temp.=-10℃, Gain=150, Exp.=180s, 42frames (Total: 7hr 38.7mn)
DSS, Siril, StarNet2, AstroSurface, Neat Image, GIMP で処理

露光時間が1.8倍強になったことで、前回より淡い部分を炙り出せて反射星雲の領域が広くなっています。また、強調処理を少し強めに行うことが出来たので、解像感も上がり刷毛で刷いた様なスジがはっきり見える様になりました。

前回との比較: 左が前回、右が今回

ただ、長時間露光で強調処理に対する耐性が上がったのでディテールを出そうとしてついつい強めに強調してしまい、結局ザラザラ感が残ってしまいました。

これだけ撮影に時間をかけても、強調し放題という訳にはいきませんね。さすがに自宅からの撮影ではやむなしでしょうか。撮影した画像はPCモニターでしか見ないので、普段見る分には老眼と相まってノイズのザラザラは殆どわかりません。これだけ淡い部分が出てディテールも引き出せたので、素直に喜びたいと思います。

M33

M33は1月12日に追加撮影を行いました。一つ前の(2024/1/8)の記事に書いた機材構成で撮影すると、少し高度が高い時間帯から撮影が出来るので、この1日の撮影で2時間ちょっとの露光となり前回分を含め総露光時間は3時間54分となりました。

M33: 撮影 2022/12/25, 12/29, 2024/1/12 @自宅ベランダ
EVOGUIDE 50ED+フラットナー, ASI533MCP, CBP, スカイメモS(前回), SA-GTi(今回)
FMA135+ASI224MC, PHD2によるオートガイド
2022/12/25 0:01 Temp.=-15℃, Gain=200, Exp.=180s, 6frames 
2022/12/29 22:22 Temp.=-10℃, Gain=200, Exp.=180s, 36frames
2024/1/12 20:24 Temp.=-15℃, Gain=150, Exp.=180s, 46frames (Total 3hr 54mn)
DSS, Siril, StarNet2, AstroSurface, Neat Image, GIMP で処理

前回と比べると、周囲の淡い腕がかなり見えてきました。ノイズ感も若干ですが減っています。この辺は露光時間が倍以上になった効果ですね。銀河の腕のツブツブ感も、僅かながら表現できている様に見えます。

前回との比較: 左が前回、右が今回

機会があれば、もう少し露光時間を伸ばして周囲の腕をもっと炙り出したいところです。他にも、暗黒帯や赤ポチ、腕のツブツブ感などももっとハッキリさせたい… と色々と欲がでてきますが、口径5cmの鏡筒なので更に露光時間を伸ばしてもそこまでは難しいかもしれませんね。

NGC2264

NGC2264は、昨年12月22日と今年の1月7日に撮影し、前回分と合わせて総露光時間は4時間54分となりました。

NGC2264: 撮影 2022/12/30, 2023/12/22, 2024/1/7 @自宅ベランダ
EVOGUIDE 50ED+フラットナー, ASI533MCP, スカイメモS(前回), SA-GTi(今回)
FMA135+ASI224MC, PHD2によるオートガイド
2022/12/30 2:45, QBP使用: Temp.=-15℃, Gain=200s, Exp.=180s, 32frames 
2022/12/22 2:59, CBP使用: Temp.=-10℃, Gain=200s, Exp.=180s, 25frames
2024/1/7 1:28, QBP使用: Temp.=-10℃, Gain=150, Exp.=180s,41frames (Total 4hr 54mn)
DSS, Siril, StarNet2, AstroSurface, Neat Image, GIMP で処理

露光時間が前回の3倍程になったので、前回と比べるとかなり淡い部分を炙り出すことができました。また、コーン星雲(下の画像の下部)やキツネの毛皮星雲(下の画像の中央右上辺り)の細かい構造も少し見える様になりました。

前回との比較: 左が前回、右が今回

強めの強調処理を行ったため細かい部分も見えるようにはなりましたが、M45と同様に副作用として若干ザラザラ感は残っています。それでも、この星雲部分に対しては前回の1.6時間という露光時間は短かった様なので、今回の追加撮影によって画像全体の印象はかなり良くなったと思います。

まとめ

昨シーズン露光不足に終わったDSOを追加撮影した結果、いずれの被写体も目論見通りの結果になったと思います。以前は、1時間程度の露光時間で満足していましたが、ネットで見かける素晴らしい作品に近づけようとすると(まだまだ近づいていませんが)かなりの露光所間が必要なことが分かりました。

一方で、これだけ長い露光時間をかけても、その分強い強調処理を行ってしまいノイズによるザラつきは残ったままでした。これを改善するならば、更に露光時間を伸ばすか、自宅ではなく遠征して暗い空で撮影するか、画像処理を変えるか… と言ったところでしょうか。何れも、今の自分にとってはなかなか大変です。素直に強調し過ぎないという対応もありますが、せっかくの長時間露光なので心情的になかなか難しいです。まぁ、拡大して見ない限りはそんなに目立たないので、当面は「気にしない」という対応でいきたいと思います。