4月から7月にかけて撮った球状星団たち

ここ数回の記事で、Sky-Watcher MAK127にKenko クローズアップレンズを組み合わせて撮影した画像を紹介してきました。それらの撮影を行う中で、手持ちのクローズアップレンズ(No.4とNo.5)のどちら(または両方)を使った方が良いかや、バックフォーカスをどれくらいにするか(組み合わせる延長筒をどうするか)を検討するため、色々と構成を変えて試していました。

前回までに掲載した被写体以外に、小さな星が密集した球状星団であれば結像性能の確認になると思い数多く撮影したので、今回はその画像を紹介したいと思います。
なお、最終的にレンズと延長筒をどの様に組合せることにしたか等はいずれ記事にすることにして、今回は撮影した画像の紹介をメインにしたいと思います。

撮影した球状星団

球状星団は4月から7月にかけて撮影しており、数えてみると全部で11個(撮影回数は15回)でした。撮影日とレンズ構成、その時の合成焦点距離、撮影条件などを一覧にしたものが下表です。このうちM55とM53が7月2日の記事に掲載したものになります。

上表の合成焦点距離は、ASTAPでプレートソルブした時の画角から求めた値です。また、灰色の行は2回撮影したうち画像を掲載してないもので、黄色の行は2回分のRAWを処理した画像を掲載しています。その他※印を付けたものについては以下をご覧ください。

  • ※1) 5/5撮影のM10, M19はライブスタック画像を処理
  • ※2) Close-up Lens No.5の後にジャンク品のレンズ(古いカメラから取出したレンズ)を組合せて使用
  • ※3) Close-up Lens No.4を裏返しにして使用

結像性能の確認が目的と書きましたが、そうであれば被写体は同じものの方が良いはずです。しかし、元々そんなに厳密に確認するつもりはなかったこともあり、むしろ今まで撮ったことのない被写体を撮ろうというのが目的としては大きかったというのが実情です。
その結果、以前からメシエ天体を全制覇しようと撮影したものを表に貼り付けているのですが、その表が9個埋まりました。

撮影した画像

個別の画像はなく、今回は1つにまとめた画像を掲載します。以下、若干補足です。

  • 各画像は光学系の合成焦点距離が違うため、同一焦点距離相当になる様に個々の画像を拡大または縮小しています。
  • 各画像をトリミング(ASI533MCPフル画面3008x3008から1504x1504を抽出)して、それを4x3に配列して1つの画像にまとめたあと、更に全体を1920x1440にリサイズしています。
  • 11個の画像を4x3に配列すると1マス空くので、最後の枠(右下)には散開星団のM26を載せました(おまけです)。

11個の球状星団とM26
鏡筒MAK127, カメラASI533MCP, 架台SA-GTi
その他撮影条件などは前出の表を参照
(M26は前出の表のM14と同じで、撮影フレーム数は37)

こうして並べてみると、夫々に個性があることが分かって面白いです。ただ、そうは言ってもどれか1つを見せられてその名前が答えられるかというと、私には無理ですね。

各画像を見比べる際の注意

ここで注意ですが、夫々の大きさの違いがこの画像で正しく表現できているとは言えません。合成Fno.や露光時間など撮影条件の違いから元画像の明るさやS/Nが各画像で異なっており、それに伴いストレッチの度合が違うため、結果的に見かけの大きさが同じレベルで再現できてないと思います。

また、色合いについても、被写体の高度や方角の違による大気や光害の影響もあるでしょうし、処理した日も違うので色バランスもその日の気分で多少変わっていると思います。そのため、大きさや色合いなどは横並びで比較はできませんので、ご注意下さい。

参考までに、大きさについてステラリウムで表示される画像と比較したものをお見せしたいと思います。

以下はM3の比較です。

M3: 左:ステラリウムの画像、 右:4/29に撮影したもの

こちらについては、大きさはステラリウムの画像とほぼ同じになっています。
因みに、今回掲載した以外にも過去に球状星団は撮影していますが、殆どは露光不足のためか小さく見えるのですが、ほぼ同じ様な大きさで撮影できたのはこのM3が初めてかもしれません。

次にM5の比較です。

M5: 左:ステラリウムの画像、 右:5/3と5/26に撮影したもの

こちらは明らかにステラリウムの画像の方が大きいです。撮影画像の総露光時間はM3よりM5の方が長いのですが、M5はまだまだ露光時間が足らないのでしょうか。それともM5の方が周辺に微光星が多く、それが収差や追尾誤差でボケてしまい背景とノイズに埋もれてしまっているのでしょうか。

まぁ、その原因はさておき、今回の撮影画像が夫々の大きさの違いを正しく表現できていると言えないと書いたのは、こういうことです。尤も、ステラリウムの画像が大きさを正しく表現できているとは言い切れないでしょうね。

あと、色については、M3もM5もステラリウムの方が少し緑っぽい感じです。
色に直接関係する画像処理としてはSirilのフォトメトリック色補正を行っていて、そのままカラーバランスを大きく変えずに処理するとステラリウムに近い色合いになるのですが、何となく好みで少しカラーバランスを変えてしまうのでこの様な差になっているのだと思います。ただ、以下のM14の様に、ステラリウムの画像が全体的に黄色っぽいものもあります。

M14: 左:ステラリウムの画像、 右:7/24に撮影したもの

なので、私の処理が一概に特定の色(色相)にシフトしているという訳でもなさそうです。もちろん、色についてもステラリウムの画像が正しく表現されているとも限らないと思っています。

まとめ

ここ3か月に撮った11個の球状星団と、おまけでM26(散開星団)の画像を紹介しました。1つ1つ画像を見るのではなく、今回の様に並べて見るのも面白いと思いました。しかも、自分で撮った画像ですから、見ていて満足感もあります。

因みに、最初の方に記載したメシエ天体の表は、現時点ではこんな感じです(適当にExcelに貼っているだけなので、並べ方や体裁は気にしないで下さい)。

進捗としては75/110で68.2%といったところです。今回の球状星団撮影でだいぶ進みましたが、短焦点(FMA135や50mmのオールドレンズ)で撮影して画面の端にたまたま写っていたプアーな画像も含めていますし、撮影時期が天文復帰後で処理が拙い画像もあったりして、それらの撮り直しも結構やっているのでなかなか進みません。

後々この表の球状星団が全部埋まったら、それらを1つにまとめた画像を作ってみたいですね。まだまだ先の話だと思いますが。