以前東京に住んでいたときの物件はベランダが南向きでしたが、真南ではなく30度ほど東を向いていました。そのため、M13はベランダからだとギリギリ壁に隠れてしまい撮影できません。
もう少し詳しく言うと、撮影できないのはMAK127を赤道儀に載せた時であって、AZ-GTi(経緯台)だと鏡筒の位置関係で短時間(20分程度)であれば撮影出来ます。ただFno.の大きな鏡筒では、ある程度時間をかけないと暗い星が写らず小さな球状星団として映し出されてしまいます。
また、EVOGUIDE 50EDであれば以下の記事に書いた方法で赤道儀でも撮影は出来ます。
けれどもM31と違いM13は視直径が小さく250mmの鏡筒では全然物足りませんし、この構成だと重量的にもサイズ的にもMAK127は載せられません。
ベランダで本格的に撮影を始めて以来ずっとこの状況だったため、長焦点で時間をかけてM13を撮ることが悲願となっていました。
しかしながら、今年に入って鹿児島に引っ越すことになり状況が一変。奇しくも西向きの物件であったため、労せず撮影が可能となりました。
撮影結果
早速ですが、ようやく撮影できたM13をご覧ください。

MAK127+0.75xレデューサー, ASI533MCP, UV/IR-Cut, SA-GTi
Temp.=0℃, Gain=250, Exp.=90s, 70frames (Total 1hr 45mn),
DSS, Siril, Starnet2, AstroSurface, Neat Image, GIMP で処理
北天最大の球状星団と言われているだけのことはあり、非常に大きいです。そして、とても美しいですね。
出来るだけ暗い星も写し出そうと、1時間45分という長めの露光時間としました。また、星のつぶつぶ感を出すため、Sirilの収差補正スクリプトであるSyQon Parallax(無料版)、Aberration Removerと、AstroSurfaceのDeconvolutionの3つの処理を行っています。
完成までの経緯
この結果を得るまでに、何度か撮影しています。
最初の撮影はまだ春の銀河を撮影していた5月末で、上階のベランダに隠れていたM13が見え始める(撮影が開始できる)時間を把握するために、薄明直後でしたが極短時間行いました。この撮影日時を元にすれば、Stellariumで撮影したい日の撮影開始時刻が予測できます。
ところが、これ以降天候が思わしくなく昼間晴れても夜になると雲が広がったり、夜晴れている様に見えても薄雲があったりという日が続きます。また以前記事に書いた様に7月中旬には新しい鏡筒(ACUTER MAK80)を購入しており、数少ない晴れ間はそちらの撮影を優先したので、次にM13を撮影出来たのは7月29日と2か月も経ってからでした。
漸く撮影できたと思いきや、処理してみると殆どのフレームが薄雲越しでした。翌日に撮り直しを行いましたが、途中から雲が出てしまい中断。とは言え51分ほど露光はできており、結構良い画になったのでこの時の結果はX(旧Twitter)にポストています。
いつも球状星団を撮る時はこの程度の露光時間で満足するのですが、ずっと撮りたかった被写体なので更に完成度を上げるべく8月16日に追加撮影した結果が前掲の画像になります。総露光時間は前述の通り1時間45分と、多分今まで撮った球状星団の中では最長です。
文字だけの説明ではつまらないので、上述した夫々の撮影結果を並べてみます。

左から5/30撮影、7/29撮影、7/30撮影、最終版(前掲のものと同:7/30撮影+8/16撮影)で、少しずつ成長(?)しているのが分かるでしょうか。
5/30のものは薄明開始後で4分半露光なので、小さい星団になっていますね。7/29のものはこの縮小画像だとそれらしく見えますが、雲越しだったものを無理やりストレッチして暗い星まで炙り出そうとしたので星のつぶつぶが大きいです。7/30のものはそのまま完成品でも良かったのですが、最後の画像と比べると露光が少なく暗い星が十分に写せていません。
球状星団はある程度の露光時間でも写りますが、やはり時間をかけて撮るとその分良い仕上がりになるのが分かります。
まとめ
長い間長焦点でじっくり撮影したいと思っていたM13を、引っ越しを契機にようやく撮影することが出来ました。
長焦点向け赤道儀ではないため、追尾誤差で甘くなった星像にやや強引な処理でつぶつぶ感を出していますが、今回の結果にはとても満足しています。