ふたご座流星群を撮影してみました

ここのところ、ブログやツイッターではふたご座流星群で賑わっています。私も12月14日に撮影をしてみました。実は、流星の撮影は人生初でした。撮影した画像は大したものではありませんが、初撮影の記念としてブログに残しておこうと思います。

撮影のきっかけ

天文を始めた小学生から高校生までの期間も含め、○○流星群の時はいつも肉眼で夜空を眺めるだけでした。何となく流星撮影は大変という思い込みがあるんです。ペルセウス座流星群しぶんぎ座流星群の頃は実家に帰省しているので、天文を離れていたときも肉眼で流星探しをしていました。

今回も、極大日前日(12/13)はベランダで20分ほど空を眺め、3つ流星を見ることが出来ました。そのうち1つはかなり明るく「これは明日楽しみだな」と思い、少し気合をいれて1時間くらいは見ようと考えていました。しかし、翌日はなぜか鼻水がやたらと出て、風邪の前兆かも?という状態。少し前であれば翌日多少風邪気味だったとしても問題なかったのですが、11月からパートで仕事を始めていて忙しい時期らしく休むと迷惑をかけるので、長時間ベランダに出るのは控えざるを得ませんでした。

しかたなくツイッターなどを見ていましたが、折しもツイッターではATOM Camが大流行(?)。こんな感じでカメラを外に置いて、室内から見られればいいんだけどなぁ.. などと考えながらふと横を見るとASI224MCが目に入り、そして広角レンズが付属していたことを思い出しました。「これだ!」と思い、人生初の流星撮影をすることにしました。

撮影

さっそく、ASI224MCに広角レンズを付け、以下の様にAZ-GTi+スカイメモS用の微動台座に載せました(特に追尾するつもりはなかったのですが、カメラ雲台などは持ってないので)。

このままベランダにポンと置いてすぐにピント出しを行い、できるだけ広い範囲が写る方向に向けて設置完了。時間は5分もかかりません。あとは部屋からリモートで画像を見ながらゲインや露出時間を決めます。撮影の経験がないのでどの程度が良いのかよくわからなかったのですが、ファイル容量も気になったので適当に露出時間12秒ゲイン200とし、惑星と同様に動画として撮影しました。

画質はやはり今一つです。広角レンズの性能なのか、IR/UV-Cutを入れてない影響なのか、あるいはその両方でしょうか。特に周辺では星像が伸びてしまいます。それでも、露出やゲインを調整している間にも流星が写り、思った以上に期待できます。ちょうど食事をしようと思っていたので、まずはフレーム数を360として撮影開始、リビングのテレビに撮影中のPC画面を映しながら食事をしました。途中明るい流星が現れ、思わず「おおっ!!」と声が出てしまいました。思い付きで撮影を始めましたが、結構ちゃんと見えるもんですね。
その後480フレーム、280フレームと計3回撮影し、撮影時間は3時間44分ほどになりました。データ量は2.7GBと、惑星撮影と比べればかなり少なくて済みました。

結果画像

撮影したものを確認すると、全部で30個ほど流星が写っていました。以下の画像は、その中で最も明るかったものです。

撮影時刻:21:57:59

そして、流星が写っているフレームだけを比較明合成したものが次の画像です。ただ、単純に合成すると星が目立ってしまうので、流星が写っている1つ前のフレームとの差分をとる等の処理をしています(詳細は後述します)。

撮影時刻:21:30~25:16,  31フレームを合成

以下は、流星が写っているフレームとその1つ前のフレームを繋げてアニメーションGIFにしたものです。

61フレームをアニメーションGIFに変換

画像処理

撮影動画はSER形式で保存したので、流星有無の確認はSER-playerを使い目で見て写っているフレーム番号をメモするという原始的なやり方です。
結果画像の最初のものは、そうやって見つけたフレームをSER-playerで保存したものです。

次に明比較合成ですが、私は普段GIMPを使っています。しかし、300フレームほどある動画を全部画像ファイルに落としてGIMPで比較明合成というのはさすがに無理があります。そのため、以前SERファイルを読み取って簡単な処理をするソフトを作ったことがあったので、そのプログラムを少し手直しして比較明合成してみました。
処理は、単純にSERから1フレームずつデータを読み込み、1つ前のフレームとデベイヤー前の状態のまま比較明合成、それを全フレーム行い最後にデベイヤーして画像ファイルに保存 というものです。
SERファイルは3つあるので、上記処理で保存された3つのファイルをGIMPで更に比較明合成を行いました。その結果が以下になります。

これはこれで良いのですが、星や月が明るすぎて流星が目立たず暗い流星は殆ど見えません。よく見かけるこのような画像では、もっと流星が分かり易い気がするのですが、皆さんどの様に処理されているのだろうか?

もう少し流星を見えやすくしたかったので、流星があるフレームだけを比較明合成してだいぶ流星が分かり易くなりました。こういう画像も良く見かけるので、今回自分で作ることが出来て少し嬉しかったです。

ただ、この画像でも少し星が煩い感じです。結像性能がいまひとつで、特に画面周辺は明るい流星でもボケてしまい暗く(薄く)写っているので、どうしても流星が目立ちません。

そこで、結果画像2枚目の画像を作成した訳です。
流星が写っているフレームから1つ前のフレームの差し引くことで、星(と背景)がかなり暗くなります。その差分画像を比較明合成し、ガンマカーブを少し弄ることで流星をだいぶ明るくすることが出来ました。そうやって作った3枚の流星強調画像を更に比較明合成して、位置合わせなしで1つの動画をスタックした画像を背景として合成しました。
それでも暗い流星は埋もれてしまっていて、30個ほどあるはずですが25個くらいしか分かりませんね。1枚のフレーム画像だと分かるのに合成すると埋もれてしまいます。うまい処理が思い浮かばないのでこれ以上は深追いしていません。

あと、流星群の放射点輻射点)から流星が飛んでいる様な画像にもトライしました。
固定撮影で広角レンズのディストーションもあるため、位置合わせして比較明合成というのは無理です。そのため、放射点だけを並行移動のみで位置合わせしようと考えました。もちろんそんな処理をするソフトはないので、GIMPを使い手動です。枚数が多いと大変なので明るめの流星が写ったフレームを12枚選び、放射点は分かり難いので誤差はありますがカストルで位置合わせしています。
また、位置合わせした付近以外は星の位置がずれるので、その軌跡が目立たない様に、最初の1枚以外は流星部分をマスクし明るさの最大値を使って星を小さくしてみました。そのようにして作った画像が以下になります。

ちゃんとした画像ではありませんが、一応、放射点から流星が飛んでいる様な画像にはなったかと思います。本来は、赤道儀で追尾しなければならないのでしょうが、初めての流星撮影だったのでこの画像でヨシとしておきます。

まとめ

今回初めて流星の撮影を行いました。画質は今一つでしたが、自分としては思った以上の流星写真が撮れたと思います。そして、画像処理も自分でプログラムを作りながらだったので非常に楽しむことが出来ました。
強いて言えば、肉眼で直接見られなかったのが少し残念です。そういえば、結局風邪はひかずに翌日は元気に仕事に行けました。あの鼻水は何だったんだろう?

次に撮影するならばもっと良い画質で撮りたいですね。また、作ったプログラムに流星の自動検出なども実装すると面白いかもしれません。DSOや惑星とはまた違った楽しみを見つけた感じです。