Stellariumのカスタマイズ

8月に撮影できた日は5日で、しかもその殆どは雲が出ている中で惑星や月の撮影でした。9月に入っても、雲間から惑星や月が撮影できればラッキーという日が続いています。
そんな惑星撮影の中でも、木星については大赤斑が見えると俄然気合が入ります。以下は8月までに撮った今シーズンの木星を並べたものですが、全て大赤斑が写ったものでした。

先月までに撮影した木星
いずれも MAK127+笠井2.5xバロー+ASI224MC, AZ-GTi, UV/IRカットで撮影

このうち8月の4日分を加工して、木星表面の動きが分かる様にしたものが以下です(先日Twitterにも投稿)。

木星表面の動き

大赤斑マニアではありませんが、木星を撮る前には大赤斑の位置をStellariumで確認しています。また、Stellariumに自宅から見える風景を追加して、木星が撮影できる場所にあるかなども確認しています(わざわざそうしなくても大体分かるんですが...)。

前置きが長くなりましたが、今回はStellariumのカスタマイズについて記載します。※私はWindowsのPCしか持ってないのでWindowsでの設定内容になります。

風景の追加

風景の追加については、紹介されているブログもありますのでご存じの方も多いと思います。本家のWebサイトにも記載があります。 →https://stellarium.org/ja/landscapes.html

この説明の「手動インストール」にある様に、各ユーザーのディレクトリ(WindowsはC:\Users\XXXXX\AppData\Roaming\Stellarium ※XXXXXはユーザーID)の下にあるlandscapesというフォルダー(無ければ作成)に、適当な名前のサブフォルダを作って画像ファイルと設定ファイルを置くことで追加できます。

画像ファイルの作成

画像ファイルは、水平方向に360度パノラマにしたもの(複数に分けても1枚でも可)か、上方を画角180度以上の円形画像にしたもののどちらかが必要となります。また、画像サイズは2の階乗(2048x1024など)という制限があります。

私はASI224MCと付属していたCCTVレンズ(2.1mm)でベランダから数枚撮影した画像を、huginといフリーソフトで円形画像にしました(下図左)。その画像をGIMPで編集して空の部分を透明にしました(下図右)。緑色が空の部分で、上の階のベランダ部分は合成がうまくいっていないため適当に描き込みました。あと、円形画像の場合は南を真上にする必要があるので必要に応じて回転させます。

この画像以外に、“もや”を表す画像と“照明”を表す画像も設定できます(無くてもOK)。私はこれらの画像も作成してみました。何れも、夜にデジカメで撮影した画像をhuginで円形画像にしたものをベースにしています。

画面右側が東京都心方面、画面右上は川崎・横浜方面でかなり明るいため、それをこの画像を元に“もや”としてGIMPのエアブラシ等で描きました(以下左)。撮影時に邪魔になる街灯もこの画像を元に描き出しました(以下右)。

設定ファイルの作成

設定ファイルは2つで、1つが設定情報を記載する landscape.ini というファイルです。内容は画像のタイプやファイル名の画像に関する情報と、場所の情報になります。

もう1つは風景選択画面で表示されるタイトルとコメントです。Stellariumは多国語対応なので、各国語毎のファイルが必要ですが日本語OSを使っている限りは日本語ファイル(description.ja.utf8というファイル)だけあればOKです。

ファイルの拡張子(~.utf8)で分かるように、文字コードはUTF8で保存する必要があります。

なお、インストール先にあるlandscapesフォルダにプリインストールされている風景データがあるので、その画像や設定ファイルを見ると、他の画像タイプ(水平方向360度パノラマやそれを分割した画像)などについても分かると思います。

作成した風景の選択

作成した画像ファイルと設定ファイルは、前述した様にStellariumの個人設定フォルダ配下のlandscapesというフォルダーにサブフォルダを作って、そこに保存します。

保存後にStellariumを起動すると、以下の様に追加した風景が選択できるようになります。

先ほどの“もや”や“照明”の表示/非表示も選択できます。作成した風景を選択し南側を表示させたものが以下の画像になります。

Stellariumで追加した風景を選択した状態
(風景が見易い様に18時台の様子。中央から左側の明るい部分が”もや”。)

画像合成時の誤差などもあり参考レベルにはなりますが、上の階のベランダや壁などでどの辺が見えないかが分かる(電線は表現していませんが、電柱の位置から電線が邪魔になるエリアも分かる)ので、撮影プランを考える際の参考になります。

普段遮蔽物が多い所で撮影や観測等を行われる方は、結構使えると思いますがいかがでしょうか。

木星画像のカスタマイズ

実は、私の方ではもう1つカスタマイズしていて、それが木星の画像です。大赤斑や衛星の位置の確認でよく木星画像を見るのですが、Stellariumで使われている木星画像はだいぶ古く今一つ現実感がありません。そのため画像を入れ替えています。

Googleで “Jupiter texture map”というキーワードで検索すると多くの画像が見つかります。

中にはダウンロードできるサイトもあり、個人で使う分には問題ないものがあります。その中から良さそうなものをダウンロードさせてもらい使っています。※利用の際は提供元の使用条件をご確認ください。

画像はStellariumのインストール先(Windowsの場合はC:\Program Files\Stellarium)にあるtexturesフォルダにjupiter.pngというファイル名で保存されています。これをダウンロードしたファイルに置き換えます(一応、元ファイルはリネームして保存)。
また、元画像と大赤斑の位置が違うと当然表示される位置もズレるので、位置を合わせておくか、Stellarium上で大赤斑の位置設定を変更するか、どちらかの対応が必要になります(大赤斑自体のシフト量も若干変動する様なので、私はシーズン毎に確認して必要あれば設定を変更しています)。

以下の左がオリジナル、右がファイルを入れ替えたものでだいぶ今の木星に近いと思います。

因みに、WinJUPOSでも[ツール]→[天体歴]メニューで指定日時の木星の様子をシミュレートできますが、同様に画像を入れ替えることができて、天体歴画面の[オプション]タブから画像を指定できる様になっています。

木星画像のカスタマイズは完全に自己満足ではありますが、現実感のある画像が表示されるとちょっとモチベーションも上がるので試してみるのも面白いと思います。