9月26日から10月2日にかけて撮影したDSO

9月終盤から10月初めに晴れの日が数日続き、その時に撮影したNGC7293と惑星について先日記事にしました。

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8月後半から天候が悪く撮影がお預け状態だったので、まだこれだけでは撮影欲が満たされません。他にも撮影できそうなDSOをStellariumで物色し、幾つか撮影しました。

被写体の選定

前回記事のNGC7293ですが、自宅ベランダからだと南東方向が横浜・川崎方面、東側が東京都心方面で光害の影響があるため、南中過ぎから高度が25°を切る位まで(22時頃から0時近くまで)の撮影でした。そして、その前後に20~30分ほど惑星撮影をやっていました。なので他にDSOを撮影するとなると、早くても0時以降からとなります。
以下は、9月27日0時頃のベランダからみた西側の空の様子です。

上側はベランダの屋根(上の階のベランダ)と右側は自室の壁ですが、ぎりぎり網状星雲(NGC6992)が撮影できそうなので、1つ目の被写体はこれにしました。
M2やM15など球状星団もありますが、機材準備に時間をかけたくないので、NGC7293を撮影した機材構成(EVOGUIDE 50ED+ASI533MCP)を変えないとすると、被写体としては小さすぎるので今回はパスです。

NGC6992は壁に近い状態で1時間も撮影できないため、1時頃には別の被写体撮影となります。1時頃の南~東側の空の様子が以下です。

この時間になると、オリオン座が撮影対象になってきます。東側なので都心の光害の影響を受けますが明るいものであればQBPやCBPを使えば何とかなります。そこで定番のM42と、どの程度写るかは疑問でしたがM78を被写体としました。あと、NGC253も銀河としては大きい方なので、時間があれば撮りたいと考えました。

撮影状況

9月25は(確か)雲が一部出ていたので惑星撮影だけを行い、日が変わって26日の0時半ころからNGC6992→M42→M78と予定していた3つの被写体の撮影が出来ました。しかしNGC6992は17分ほど撮影したところで壁に隠れ始めたので撮影を中断しました。
参考までにStellariumで壁に隠れる様子を再現したものと実写が結構似ていたので載せておきます。実写は1フレームをASIFitsViewで表示させたものです(風景画像や実際の機材の位置に差異があるので、実写の時間とStellariumの時間は一致していません)。

M42は1時間ほど撮影できましたが、M78は途中曇が何度も横切ったので消化不良、という状況でした。次にM78を撮影できたのは9月27日の2:30頃からでしたが、この日も徐々に雲が出てきて30分弱の撮影となりました。

その次の撮影は、10月2日0時からとなりました。撮影時間が限られるNGC6992を最初に撮影して、前回と同程度の露光時間となりました。
この日は明け方まで雲もないという予報だったので、その後の撮影には時間的に余裕があります。9月26日はM42をQBPで撮りましたが、青成分も多いのでCBPに入れ替えて撮影したいと思っていました。NGC253やM78もCBPの方が良さそうなので、ここでフィルターを交換し、NGC253→M42と撮影を行いました。
そしてM42の撮影を終えM78を導入しようとベランダに出ると、既にM78は雲の中。撮影中は部屋でリモート状態だったので分かりませんでしたが、M42撮影の終盤から曇が大量に出てきていた様です。結局、M78は撮影できませんでした。

以下に撮影条件などを列挙しておきます。

  • 機材: EVOGUID 50ED+フラットナー,ASI533MCP,スカイメモS,QBP、CBPフィルター使用
  • 処理ソフト: DSS(改造版), SiriL, Starnet2, GIMP, Neat Image v8(フリー版), AstroSurface
    ※ダークフレームは0℃ Gain200 128s×40 と0℃ Gain200 90s×80を使用、このダークで消えないホットピクセルは dead pixel map を作成して除去。
  • NGC6992:総露光時間38分24秒
    9/26 0:27:0℃ Gain 250 64s×16,10/2 0:01:-5℃ Gain 200 128s×10 何れもQBP使用
  • M42:総露光時間 1時間43分14秒
    9/26 0:56:0℃ Gain 200 128s×28 QBP使用, 10/2 2:04:-5℃ Gain 200 90s×29 CBP使用
  • NGC253: 総露光時間1時間1分30秒
    10/2 0:48: -5℃ Gain 250 90s×41 CBP使用
  • M78:総露光時間1時間4分
    9/26 2:16:-10℃ Gain 250 128s×18 QBP使用,9/27 2:24:-5℃ Gain 200 128s×12 CBP使用

処理結果

NGC6992

NGC6992

露光時間は38分ですが、思った以上に写ってくれました。昨年はFMA135+ASI533MCPで全体を撮影していたので、それと比べると今回は大きく写るので少し細部が見える画像となりました。西側(NGC6960)も撮影してモザイク合成するのもいいかもしれません。昨年撮影したものも掲載しておきます。

2021/10/3撮影:MA135+ASI533MCP, AZ-GTi
OPTLONG UHCフィルター+UV/IRカットフィルター使用

M42

M42

都心方面の光害の影響も受けているはずですが、さすがに明るい星雲です。しっかり写ってくれました。今まで撮影したM42の中でベストだと思います。
QBPフィルター,CBPフィルターの効果もあり、周囲の分子雲も少し写り始めていました。ノイズで粗くなるので上の画像では炙り出してはいませんが、星無し画像の暗い部分を持ち上げたものが以下になります。

M42の星無し画像を強調したもの(1504x1504にリサイズ)

年が明ける頃には西側の暗い空に移るので、撮り増しすることで周囲の分子雲も結構写るかもしれません。ちょっと楽しみです。

NGC253

NGC253:1200x1200にトリミング

今回の機材構成では小さく写ってしまうので1200x1200にトリミングしました。予想以上に細かい部分まで写っています。とは言え、この大きさであればもっと焦点距離は長い方が良いので、やはりMAK127の被写体でしょうか。

M78

M78

今回は雲に邪魔されて思ったほど露光時間が伸ばせませんでした。それでも1時間以上は露光しましたが、まだまだ不足の様です。しかし、今年の正月に実家(鹿児島)の暗い空で撮影したものは、16分露光でもっと写っていました。以下はその時の画像から同じエリアをクロップしたものです。

M78:2022/1/3@鹿児島(実家の庭)
馬頭星雲からM78にかけて撮影したものからクロップ
FMA135, ASI533MCP, Astro R-77赤道儀, Gain350 64s×15, CBP

FMA135のFno.は4.5、EVOGUIDE 50EDはフラットナー込みでFno.5程度という違いがあるにしても、相当な差です。どちらも自分で同じ様な処理をしているので、この差は空の暗さの差ということになります。Light pollution mapによると、実家のSQMは21.48、自宅のSQMは18.97です。やはり暗い空には敵いませんね。自宅で時間をかけて撮影するくらいなら遠征に… と、つい思ってしまいます。
現状はなかなか遠征に行けないので、遠征に行く機会があったら撮影するとして、西側の暗い空に移ってからもう少し撮り増ししてみようと思います。

まとめ

久々に幾つかのDSOを撮影でき、撮影欲がある程度満たされました。この時期にEVOGUIDE 50EDで撮影できるものと言う事でチョイスしましたが、こうして記載してみると全て以前撮影したものでした。
今後は夏の荒天続きとは違って、晴れが続く日も多いと期待しています。いままで撮影してないものや、過去に撮影して撮り増しや撮り直ししたいものもあるので、何を撮影するか予めピックアップしておいて撮影に臨みたいと思います。