IC434(馬頭星雲)とM78

実は、未だに先月の皆既月食のデータ処理がまだ少し残っています。しかし、同じような処理ばかりだと疲れるので、ちょっと一休みして先日馬頭星雲を撮影しました。その画像と以前の記事で掲載したM78の撮り増しも行ったので、今回はそれらの画像を紹介します。

IC434(馬頭星雲)

ここ数週間は火星が接近中なので撮ろうと思っているのですが、何かと都合がつかず機材を出すタイミングが深夜近くになるため、自宅ベランダからだと高度が高すぎて火星が見えません。11月26日もそんな感じで、所用が終わったのは午後11時頃。火星はもちろん見えない位置なので、何かDSOでも撮影しようと思い馬頭星雲を選択しました。

結果は以下の通りです。

馬頭星雲: 撮影日 2022/11/27, 12/4 @自宅ベランダ 
EVOGUIDE 50ED+フラットナー, ASI533MCP, スカイメモS
FMA135+ASI224MC+PHD2によるオートガイド
11/27 2:20: -10℃ Gain 250 128×40 QBP使用
12/4 2:39: -15℃ Gain 200 128×37 CBP使用
DSS(改造版), SiriL, Starnet2, GIMP で処理, 3008x3008→2000x2000にリサイズ

馬頭星雲は今年1月にFMA135でM78も含めて広角で撮影しましたが、今回はEVOGUIDE 50EDで馬頭星雲と燃える木メインとしました。また、ベランダからだと東側は光害の影響があるので、南中を少し過ぎる2時頃まで待って1時間半ほど撮影しました。しかし処理してみると結構ノイジーで、それなりに炙り出すには露出不足だった様です。そのため、12月4日の月没後に1時間ちょっと撮り増しを行いました。

露光時間はトータル2時間44分で、自分としては長時間露光の部類です。遠目に見ると燃える木も馬頭星雲も結構ディテールが出ている様にみえます。しかし、よく見てみるとまだまだノイズも多いです。もう少し撮り増ししたかったのですが、満月期でもあるので次の新月期までお預けです。

馬頭星雲と燃える木の色

今回、最初にQBPで撮影したものを処理した際、馬頭星雲と燃える木の色がどうも自分の好みの色にならないのが気になりました。燃える木は黄色っぽくて馬頭星雲はマゼンタっぽいという印象があるのですが、どちらもオレンジっぽい感じになってしまいます。2回目の撮影でCBPを使ったのは、オレンジっぽくなるのはQBPの波長域(青の成分が少ない)が影響しているのだろうと思ったからです。(もちろん、単に青成分が増えると燃える木もマゼンタっぽくなる(黄色くはならない)ので、CBPだと好みの色に近づくという訳ではないのですが…)

QBP とCBPの違いを見るため、ゲインや露光時間,ピントや空の状態など条件が微妙に違いますが、1回目(QBP)と2回目(CBP)の画像を個別にスタックして比較してみました。
以下左がQBP、右がCBPで、処理はSiriLでフォトメトリック色補正とオートストレッチのみです。

CBPはQBPより青が出るので少し馬頭星雲がマゼンタに近づくかと思いきや、馬頭星雲の色自体はそんなに変わりませんでした(ヒストグラムをみると、青成分だけでなく緑成分も同様に増えていたのでマゼンタにはならなかったみたいです)。それよりも光害カット効果の違いで、QBPの方が馬頭星雲や燃える木のコントラストが高く淡い部分も出ていることから、私の自宅からだとこの被写体に関してはQBPの方が適していると言えそうです。

燃える木と馬頭星雲を個別に色調整すれば好みの色に仕上げることはできなくはありません。冒頭に掲載した画像は、少しだけ燃える木と馬頭星雲の色バランスを変ました。ただ、なんだか邪道な感じがするので、被り補正する程度の僅かな補正に止めています。

黄色っぽい燃える木とマゼンタっぽい馬頭星雲は、モノクロカメラ+(L)RGBやカラーカメラでフィルター無し(UV/IR-cutのみ)などの作例が多い気がするので、QBPなど波長域が大きく制限されるフィルターだと難しいのでしょうね。

M78

10月8日の記事で、露光時間1時間ほどのM78を掲載して「西側の暗い空に移ってから撮り増ししてみよう」と記載していました。

r77-maabow.hatenablog.com

10月21日に撮り増しして処理まで行っていましたが、その後Twitterには投稿したもののブログには掲載してなかったので、この機会に掲載しておきます。

M78: 撮影日 2022/9/26, 9/27 10/21 @自宅ベランダ 
EVOGUIDE 50ED+フラットナー, ASI533MCP, スカイメモS
FMA135+ASI224MC+PHD2によるオートガイド
9/26 2:16: -10℃ Gain 250 128s×15 QBP使用
9/27 2:24: -5℃ Gain 200 128s×10 CBP使用
10/21 3:18: -10℃ Gain 250 128s×29+60s×3 CBP使用
DSS(改造版), SiriL, Starnet2, GIMP で処理, 3008x3008→2000x2000にリサイズ

撮り増しした10月21はまだ明け方でもM78は光害の少ない西側には至りません。なのでできるだけ遅い時間(3:18)に撮影を行いました。露光時間はトータル1時間58分(前回は1時間4分)となり、前回と比べると当然ですがだいぶ淡い部分も表現できていると思います。しかしまだまだノイジーで、前回記事に掲載した実家(SQM 21.48)で16分露光した画像にはまだ及びませんでした。こちらも、時間があればまた撮り増しかな。

まとめ

馬頭星雲もM78も、淡い部分を炙り出そうとするとまだまだノイジーで露光不足の様です(今回掲載した画像は、ノイズを少し誤魔化すためちょっとだけ縮小しました)。

因みに、以下が「前回記事に掲載した実家で16分露光した画像」の馬頭星雲部分を切り出した画像です。

実家で撮影した馬頭星雲

焦点距離が短く且つデノイズを強めにかけているので、解像という意味では冒頭の画像に劣ります。しかし、淡い部分も十分出ていて暗い空の凄さが良く分かります。
自宅の空は光害がそんなに酷いとは思ってなかったのですが、今回のM78や馬頭星雲の画像を比べてみるとそれなりの光害地なのでしょう。とは言え、なかなか遠征には行けない状況なので、時間をかけて自宅で頑張ろうと思います。